近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をあちこちで耳にするようになりました。企業がITを使って業務を効率化したり、新しい価値を生み出したりするこの取り組み、実は裏で活躍している“ある人材”がいます。
それが「業務DX人材」と呼ばれる人たちです。
特に今注目されているのが、Salesforce・SAP・ServiceNowといった業務プラットフォームに強い人材。これらのツールを扱えるエンジニア・コンサルタントは、今や企業から“取り合い状態”になっています。
DXの本丸は「業務」の改善にある
DXというと、AIやロボットなど先端技術の話を想像しがちですが、実際の現場で最も求められているのは、「日々の業務をどう変えるか」という点です。
たとえば、
- 顧客対応をもっとスムーズにしたい(→ Salesforce)
- 経理・人事・在庫などを一元管理したい(→ SAP)
- 社内申請やIT対応のムダをなくしたい(→ ServiceNow)
こうした「業務改善の仕組み」を作るうえで、上記3つのサービスはとても強力なツール。だからこそ、これらを導入・活用できる人材は、DXの現場でひっぱりだこなんです。
各ツールの特徴と求められるスキル
それぞれのツールには特徴があり、求められるスキルや役割も少しずつ違います。
■ Salesforce(セールスフォース)
- 主にCRM(顧客管理)に強く、営業支援・マーケティングの分野で活躍
- スキル:Apex開発、Lightning設計、Salesforce認定資格など
- 顧客対応やカスタマージャーニーの改善を支援
■ SAP(エスエーピー)
- 財務・会計・人事など、企業の基幹業務全体を支えるERPの代表格
- スキル:ABAP(開発言語)、SAP S/4HANAの理解、認定資格など
- 導入コンサルや業務設計スキルが重視される
■ ServiceNow(サービスナウ)
- 社内業務の自動化やITサービス管理に特化したクラウドプラットフォーム
- スキル:JavaScript、ITIL知識、ワークフロー設計力
- IT部門だけでなく、人事や総務でも導入が進む
需要が急上昇中の“3S人材”
この3つのツール、頭文字を取って「3S(スリーエス)人材」なんて呼ばれたりもします。最近では、大手SIerやコンサル企業もこの呼び名を使って人材育成を強化中。
実際、富士通は「Salesforce・SAP・ServiceNowを扱える人材は、今後のDXビジネスを担う中心になる」として、社内で専門職を育成しています。
加えて、SalesforceはDeloitteと協力して未経験者向けの育成プログラム「Pathfinder」を提供。このように、各社とも優秀な“業務DX人材”の囲い込みに本腰を入れています。
経験者は転職でも有利に
もしあなたがこれらのツールに関わった経験があるなら、今は転職でも非常に有利な立場です。
実際に求人サイトを見ても、
- 「Salesforce導入経験者」
- 「SAP S/4HANA移行プロジェクト経験者」
- 「ServiceNowによるワークフロー構築経験者」
といったワードで検索されている求人は非常に多く、しかも高年収が期待できます。
未経験から目指すには?
「でも、使ったことないし…」という方も心配は無用です。
現在は、オンラインで学べる環境もかなり整っています。
- Salesforce → Trailhead(公式の学習プラットフォーム)
- SAP → openSAPやSAP Learning Hub
- ServiceNow → Now Learning(公式トレーニングサイト)
まずは無料の教材からスタートしてみるのもおすすめです。
また、プログラミング経験がなくても、業務改善の視点や業務フロー設計が得意な人は、コンサル系のポジションで活躍できる可能性もあります。
3Sツールのスキルは、これからの“武器”になる
業務DXは、単なるIT導入ではなく、「会社の中のしくみをどう変えるか」という本質的な変革です。
その中心にあるのが、Salesforce・SAP・ServiceNowといった業務プラットフォーム。そして、それを活かせる人材は、これからますます求められていきます。
ITエンジニアとしてキャリアの選択肢を広げたい方にとって、これらのツールのスキルを磨くことは、まさに“次の武器”を手にすることに繋がります。
ぜひこの波をチャンスととらえて、自分なりのキャリア戦略を考えてみましょう。