先日、ある本を読んでいる際に「技術的負債」という言葉が出てきました。しかし、私はこの言葉を知らなかったため、調べてみました。調べるうちに、これはこれまでに何回も経験し反省した事であり、プロジェクトの成功に大きく関わることが分かりました。特に、開発スピードを優先する際に発生しやすく、後々の保守性や拡張性に大きな影響を及ぼしたことです。私と同じようにこの言葉は知らないけれど、経験した人は多く居ると思います。知らなかったエンジニアや初めて聞いたエンジニアにも役立つよう説明したいと思います。
1. 技術的負債（Technical Debt）とは？
技術的負債（Technical Debt）とは、ソフトウェア開発において短期間での成果を優先するために、設計やコードの品質を犠牲にすることで生じる長期的なリスクを指します。これは金融の「負債」と同じように、短期的な利益を得られる一方で、後から修正やリファクタリングのコストが増大することを意味します。
技術的負債は、エンジニアリングチームが意図的または無意識のうちに積み上げてしまうもので、適切に管理しなければ、システムの拡張性や保守性に悪影響を及ぼします。
2. 技術的負債の種類
技術的負債には、主に以下のような種類があります。
① 意図的な技術的負債（Deliberate Technical Debt）
- 納期優先のため、一時的に品質を犠牲にする
- MVP（最小限の製品）を早期リリースするために、後回しにする設計上の決定
② 無意識の技術的負債（Accidental Technical Debt）
- スキル不足や経験不足により、適切な設計ができずに生じる負債
- チームの知識が不足していたため、最適でない技術選定をしてしまう
③ 進化による技術的負債（Bit Rot Technical Debt）
- 長年のシステム運用で技術的負債が蓄積していくケース
- 変更を繰り返した結果、コードの一貫性が崩れ、メンテナンスが困難になる
3. 技術的負債の影響
技術的負債を放置すると、以下のような影響が発生します。
① 開発速度の低下
コードの複雑化により、新機能追加や変更が困難になり、開発速度が低下します。
② バグや障害の増加
設計が不適切なコードは、予期しないバグを引き起こしやすく、システム障害のリスクを高めます。
③ 保守コストの増大
リファクタリングに必要な時間とコストが増え、プロジェクトの持続可能性が低下します。
④ エンジニアのモチベーション低下
スパゲッティコードや複雑な設計のため、エンジニアが働きづらくなり、離職率が上昇する原因にもなります。
4. 技術的負債を管理・解消する方法
① コードレビューとリファクタリングの習慣化
- コード品質を維持するために、定期的にリファクタリングを行う
- PR（プルリクエスト）時にコードレビューを徹底する
② テスト自動化の導入
- CI/CD（継続的インテグレーション・デリバリー）を活用し、バグを早期発見
- ユニットテスト・統合テストの実施で、負債の発生を抑える
③ 技術負債の「見える化」
- チケット管理ツール（Jira、Trello） で負債リストを作成し、優先度を決める
- 負債の解消を開発スケジュールに組み込む
④ チーム内で技術的負債に対する認識を統一
- 「技術的負債は発生するもの」と認識し、積極的に管理する
- 開発チーム・経営層と負債削減の優先度を共有
5. まとめ
技術的負債は、開発スピードを優先するために発生しやすいものですが、適切に管理しなければ、開発速度の低下、障害の増加、保守コストの増大といった問題を引き起こします。
負債を完全にゼロにすることは難しいですが、定期的なリファクタリング、テスト自動化、技術負債の「見える化」などの対策を講じることで、負債を抑えることが可能です。
私自身、技術的負債について深く理解することで、エンジニアとしてより良い開発環境を作る意識が高まりました。 この記事が、同じように技術的負債を知らなかったエンジニアの参考になれば幸いです。
