ITシステムの開発を行う時にはお客様が発注者、開発ベンダーが受注者となって契約を締結します。
しかしその契約についてあまり皆さん(私も含めて)、整理がついていないのではないでしょうか。
今回は備忘録の意味も含めてまとめてみます。
開発契約の形態は2つと派遣
ITシステムの開発を契約する場合、契約の仕方としては2つあります。
- 請負契約
- 準委任契約
契約に関する記載は法律に関する事ですので、専門家の記載にお任せしたいと思います
請負契約と準委任契約について 引用<BUSINESS LAWYERS>
非常に分かりやすかったです。
そしてもう一つ、ITエンジニアを依頼会社側で迎え入れて開発を行う派遣契約になります。
こちらは派遣会社から技術者自体を派遣して、ユーザ企業で開発を行う事になります。
例として考えてみた
では実際の現場ではどうか。例を挙げてみました。とにかく最も一般的な分かりやす例で作成しました。
【請負開発契約】
お客様から要件定義書の提示を受けて、基本設計~結合テストまでの見積を作成。その見積り金額でシステム開発を受注し、納品物は開発したソースプログラム一式とした。
結合テスト完了後にソースプログラムをお客様に納品し、検収をいただき、請求書を提出、決められた期日に入金があった。
【準委任契約】
システム開発の為に社内で開発技術者を3名選任し、1名の指揮命令者(リーダー)を指定。
お客様からは月当たり4人分の作業の依頼を受注。お客様からの開発に関する指示は指揮命令者に届き、指揮命令者が3人の技術者に具体的作業指示を出し、作業結果をお客様に報告する。
毎月月末に作業報告書を作成し、お客様に納品し、請求書を発行し指定期日に入金がある。
【派遣契約】
システム開発を行う開発者として、技術者をお客様に派遣。派遣された社員はお客様の指揮命令者から直接作業指示を受け、お客様社内で作業を行う。
毎月月末にその月に勤務報告を行い、1ヵ月分の契約額を請求し、決められた日に入金がある。
注意が必要な事
各契約に関して現場で気を付けなければならない点は多くあると思いますが、特に重要と思われる点をいくつか記載します。
1.まずは現在の契約形態を把握する。必ず自分が開発に参加している契約は何か認識しておきましょう。
2.開発請負の場合、見積範囲を理解し、納品物を準備する。開発請負の場合、あらかじめ開発する機能や範囲は決まっているはずです。そこから外れる開発は受けないようにする。
3.請負開発の場合、納品物の開発責任は開発側にあるので納品後に見つかった障害も契約に記載された範囲で対応する。
4.準委任契約では作業者にお客様から直接作業指示は出せない。必ず指揮命令者に対してお客様から作業指示が出る。
5.準委任契約の場合、お客様が技術者の管理を直接行う事は出来ない。出退勤の管理は開発ベンダー側で行う事になる。
6.派遣の場合、お客様側で技術者への直接指示ができる。
その他の多くの注意点はありますが、私が注意しなければと思っている点です。