IT業界もある意味、製造業です。その構造も製造業や建設業に良く似ています。
顧客からシステム開発を請け負い開発にあたります。
開発顧客は官庁やグローバル企業のレベルから、中小企業レベルまで様々です。
建設で考えると、省庁の本庁ビルや大企業の本社ビル建設から、個人の住宅建設まであるのと同じです。
今回はここで大規模~中規模レベルでのシステム開発での階層構造について記載します。
全体構造図
大規模システム開発での階層構造はこんなピラミッド構造になっています。
様々な業界で見られず構成ですよね。
そしてこの階層の各層の担える会社の数もこの図の通り、上に行く程少なく、下に行く程多くなります。要は元請けとなれる会社は少なく、その下請けとして働く会社がとても多いという構造です。
またそこで働く技術者の数にも同じことが言え、上位を担当する技術者は少なく、下位を担当する技術者の数が多くなります。
ここで一階層づつ特徴を書いて行きます。
元請け会社
開発発注元と直接契約を締結する会社です。プライムとも呼ばれ請負責任を持つ会社になります。
大規模開発でこのレベルになれる会社は限られます。メーカー(富士通、NEC、日立、IBM)であったり、コンサルタント系のシステムインテグレータ(アクセンチュア、デロイトトーマツ、NRI、NTTデータ)が占めます。
この階層に求められるのは信用度、プロジェクト推進力となります。発注元と調整、開発会社と協力したプロジェクト推進が求められます。
このレベルでの月額人月単価が200万円~300万円となります。
一次請け会社
元請け会社から発注を受け、実際にシステム開発業務に携わるのがこの一次会社になります。
主に上流工程と言われる要件定義~システムテスト、導入まで担当します。
このレベルの会社としてはメーカー系列のシステムインテグレーション会社(NECソリューションイノベ―タ)といった会社や独立系、ユーザ系のシステムインテグレータ会社(SCSK、大塚商会、富士ソフト)が多く担当します。
このレベルの会社に求められるのは開発力となり、顧客の要件を吸い上げ、品質が良いシステムを構築するかがポイントとなります。
このレベルでの人月単価が100万円~200万円となります。
二次請け会社
一次請けで上流工程が終わった設計から、詳細設定、コーディングプログラミング等を主に行う会社になります。
このレベルの会社に求めれられるのは下流の開発力となり、上位設計書の設計書から品質が良く、納期を守った開発が行える事が条件になります。
二次請けと一次請けの関係は強く、過去に一次請けとの開発で実績を作り、信頼を得た会社が担当者レベルで繋がりを得て、継続して発注されるケースがほとんどとなります。
ですのでまずは一次請け企業との関係作りを如何に行うかが二次請けレベルの会社になれるかのポイントとなります。
このレベルでの月額人月単価は80万円~150万円が多いのではないでしょうか。
三次請け会社以降
三次請けになると二次請けとの契約形態も様々になってきます。
二次請けが受注したが手が回らない機能を完成請負の契約で切り出して開発するケースもありますし、業務委託(SES)契約で2次請け会社に参加する事もあります。また2次請けに派遣社員として派遣される事もあります。
ここで求められるのは二次請け同様に下流の開発力になります。
このレベルでの月額人月単価が60万円~100万円になることが多いです。
自分の位置を確認してキャリアパスを考える
今回説明したのは大規模システム開発での構造になります。中小規模になると一段レベルが下りた会社が元請けになって来ます。
こうした中で今の自分の会社と自分の仕事のポジションを考えて、今後どのレベルの会社でどんな仕事をしたいのか、考えてみるといいでしょう。
そしてその為に何を経験として積んで、どんな会社に移るのか、もしくは今の会社でどんな仕事をするのか考えて、今後のキャリアプランを練ってみましょう。
上に書きましたが、それぞれのレベルで大体の単価は決まって来ます。それが自分が働いた事で自分の会社が得る金額になります。ですのでそれ以上には自分の給料はならないという事です。
それも一つの判断材料になるのかと思います。